税理士は独立しても食えない?

私は知り合いにバーチャルオフィスを経営している社長がいるのですが、その方いわく、日本でも新型コロナウイルスが流行した2020年4月以降のあの時期に、弁護士・税理士など士業の先生の利用が急増したそうです。

その中でも特に多いのが税理士だったそうです。

税理士先生は7万人もいて他の司法書士や社労士などの士業よりも人数が多いから、税理士先生がより目立っていたという背景ももちろんあると思います。

ただそのカラーバス効果を差し引いても、士業の先生のバーチャルオフィス利用が増加したのは顕著だそうです。

バーチャルオフィスを利用する税理士が急増した背景は?

バーチャルオフィスを利用する税理士が増えたという事は、苦境に立たされている税理士が増えたという事実を如実に物語っています。

まず1つ目の背景として、今まで女性の職員さん1~2名を雇い、「所長先生+数名の職員さん」という典型的な小規模会計事務所の形態で経営してきた会計事務所が、顧問先の倒産や売上減で固定費を賄えなくなったという背景があります。

職員さんを解雇し、借りていた事務所も手放す事で大幅に固定費を削減し、所長先生1人で残った顧問先と付き合っていくというケースです。

所長先生1人なら事務所がなくても自宅などで会計事務所経営はできますから、自宅住所を公にさらしたくない税理士先生が、バーチャルオフィスを利用してこの形態に切り替えたのでしょう。

そしてもう1つの背景としては、緊急事態宣言が出て外出自粛が要請された期間がありましたが、これによって事務所を持つ必要を感じなくなった税理士先生が出てきたという背景もあるでしょう。

決算に関する打ち合わせや緊急のケースを除いては「税理士先生との打ち合わせは電話だけで良い」と考えている経営者も多いので、1人でやっている税理士先生にとっては事務所を構える必要もないのです。

やはり税理士は開業しても食えないのか?独立すべきでない?

コロナが終わり、それでも税理士先生など士業の先生のバーチャルオフィスの利用は減っていないと聞きます。

それは、税理士先生が経営の中にオンライン化をうまく取り入れることに成功したともとれなくはないでしょう。

しかし、やはり独立開業税理士の事務所経営が厳しいという事実は変わっていません。

7万人もの税理士先生がいる中で、いかにして顧客に選んでもらえるかを試行錯誤しないことには、いずれジリ貧になり廃業するでしょう。

そんな中で、では何に集中すれば勝ち残れる会計事務所になり、勤務時代よりも年収を上げ、自分の時間も確保できるようになるのか?

まず考えなければいけない重要なことを3つご紹介します。

1.事務所費用など無駄な固定費は削減する

独立する税理士先生の中には、見栄えにこだわって最初から事務所を構える方もいます。

元いた会計事務所から顧問先を引き継いだ税理士先生は、「売上があるからいいじゃん!」と思う方もいるかもしれませんが、私はおすすめはしません。

無駄な固定費はかけるべきではないというスタンスだからです。

やはり、必要のないものは徹底して排除すべきでしょう。

自宅だと家族がいてどうしても仕事に集中できないというなら仕方ないかもしれませんが、その固定費が賄えるのであれば広告費や集客費用に投入して顧客を獲得すべきだと思います。

事務所を構えるのは十分な余裕ができてからでも決して遅くはありません。

今の時代、打ち合わせなんて電話やオンライン会議で十分事足ります。

2.顧問先離れはあるものだと想定しておく

これから独立しようと考えている税理士先生は、レッドオーシャンだと分かっている競争の中に自ら飛び込んでいくわけです。

ひとたび法人と顧問契約を結べば5年、10年と続くなんていう昔の良い時代とは違って、顧客も情報をいくらでも取れる時代です。

顧問料の安い会計事務所、専門サービスに長けた税理士法人はいくらでもインターネットで探せます。

ですから、顧問先離れも当たり前のように起こる時代です。

「いやいや榎本さん。うちにはこの顧問先がいるから大丈夫!」

「この5社だけはうちにしか対応できないから大丈夫!」

なんて甘い考えを持った税理士先生に私は何名も出くわしました。

そんな風に思っているのは税理士先生あなただけです。

案の定そのような殿様商売の税理士先生は、勢いのある地域の税理士法人や、手厚いフォローをしてくれる若手税理士先生に顧問先を持っていかれました。

顧問先の社長は不満を抱えているかもしれませんし、もっと安い会計事務所やもっとサービスの行き届いた会計事務所が現れれば、意外と簡単に乗り移るかもしれませんよ?

たとえばコロナの時期には、持続化給付金を通すことができずに顧問先に切られた税理士・会計士も少ないと聞きます。

このように、ちょっとしたことで顧問先は離れていってしまうのです。

これから税理士先生が独立して新しい顧問先を発掘できたとしても、サービスや料金面などに不満を感じられればすぐに乗り換えられる可能性があるわけなので、これからは乗り換えられることを前提として経営をしないといけないでしょう。

「先生!先生!」なんて普段から言われていると勘違いしてしまうのですが、常にリスクは目の前に潜んでいることを頭の隅に置いておきましょう。

ちなみに余談ですが、私は最初に起業した会社の税理士先生を10年間変えていません。

3.独立した税理士先生はとにかく集客に一点集中!

顧問先の数をキープしたり売上をキープするためには、自然減を見越してとにかく継続的に新規顧客を集客するしかないわけです。

ですから、これから独立する税理士先生はまずは集客を勉強しましょう。ここに一点集中です!

事務所の経営合理化がどうとか、効率的な会計ソフトがどうとか、売上を上げる社員教育とか…こういったものはもっと先のステージで考えるべき問題でしょう。

独立後には集客さえできていれば、事務所経営はどうにでもなるものです。

  • いかにして紹介を貰える仕組みを作るか
  • いかにして問い合わせを獲得する仕組みを作るか

所長先生はこのことに頭を悩ませましょう!

新規集客ができないと、独立してもすぐに廃業になります。

勤務税理士に逆戻りです。

1 Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です