新型コロナウイルスは税理士の二極化にさらに拍車をかけました。

コロナウイルス税理士

新型コロナウイルスの影響で日本経済が停滞し、政府から緊急事態宣言まで発令され、まさに未曾有の事態に陥りました。

この記事を書いている現段階では緊急事態宣言も解除されたのですが、まだ新型コロナウイルスの第二派がいつ襲ってくるのかは分からない状況です。

誰にも分からない事をあれこれ心配しても仕方がありませんから、私達はしっかりと警戒をしつつも、個々が前を向いてやるべき事をやっていく事になりますね!

「月次訪問とかいらないのでは?」という流れが加速します

そんな中で、新型コロナウイルスの影響で如実に浮き上がった疑問があります。

それが、「税理士の月次顧問料の意義」です。

これは長引いた外出自粛期間中に、「というか、そもそも毎月税理士先生に会う必要ってあるの?」という疑問が多くの経営者の間に浮き上がった事が原因です。

毎月顧問先への訪問を決まり事にしている(というかそれを名目に顧問料を取っている)税理士先生もいれば、事務所に来所して貰うスタンスを取っている税理士先生、カフェなどで打ち合わせをするスタイルの税理士先生など、方針は先生により様々でしょう。

ですが、おおよそ1~2ヶ月に1回くらいは経営者と会っているという税理士先生は多いはずです。

それが、この“ステイホーム”の自粛期間が長引いた事で毎月のミーティングができなくなりましたよね?

もちろんオフラインでもできない事はありません。

月次の訪問はできないので、遠隔会議システムのZOOMを利用したりする若手の税理士先生、アナログだけどなんとか在宅状態でも頑張って電話や資料郵送で月1のミーティングを行おうとするITに疎い税理士先生、そもそも今回は緊急事態だからという事でミーティングを諦めた先生など…

私も知り合いの経営者に聞いたりしましたし、ツイッターのタイムラインを眺めて情報収集したりしていましたが、税理士先生の対応は様々でした。

毎月の顧問料徴収ありきの税理士事務所の経営スタイルの見直し時期

ですが経営者達の中に沸き起こった疑念として、「ズームで会議って、これそもそも面倒なだけで意味あんのか?」というものですし、結局は毎月の打ち合わせに使っている1時間や2時間って、実はいらないんじゃないか?という声も何名かの経営者から聞きました。

結局1~2ヶ月に1回の税理士先生との打ち合わせが無くても一切何も変わらない事が経営者にバレたわけです。

この議論は税理士業界でも前々からもうありましたが、「顧問料って何だ?決算だけで良いのでは?」という流れの加速ですね。

単刀直入に言いますが、税理士先生側は建前として「月次訪問」とか「毎月のミーティング」なんて言っているだけで、その内実は1ヶ月ぶんの資料を渡してちょっとした雑談をする程度…という打ち合わせをしている税理士先生が大半なのではないでしょうか?

これが不要だという事実を改めてコロナウイルスが経営者に気づかせたわけです。

そうなると、何も考えずに今は顧問先から月3~5万円とか取っている税理士先生は、この先顧問料が取れなくなります。何も特別な事をしていない税理士先生は確実にそうなります。

とりあえず付き合いで最低限の月1万だけ等になり、あとはどれだけの価値提供をするかの差別化の部分で報酬が変わってくるでしょう。

「そもそも顧問契約が前提だ」といくら税理士先生側が旧態依然とした主張を唱えたとしても、そんなのは経営者には通用しませんし、顧問料をうんと安くして他で売上を作っている税理士先生はいくらでもいますし、それこそ10年前から言われている“付加価値”というもので差別化している先生もいくらでもいます。

だから、毎月の顧問料徴収ありきでしか売上を立てられない税理士先生は、そう遠くない未来に危機が訪れるかもしれませんよ。

新型コロナウイルスに関しての施策を顧問先にどう提供しましたか?

非常時にこそ税理士先生の存在意義が問われますし、差別化を図るチャンスです。

例えば、今回の新型コロナウイルス関連で連日話題にあがっていた持続化給付金や、日本政策金融公庫の特別貸付や、無担保無利子の銀行の貸付金の情報などは顧問先に率先して伝えましたか?

税理士先生には何も相談しない経営者でも、売上減少で心底困ってる経営者が日本中にわんさかいるんですよ?

じゃあなんで税理士先生に連絡してこない?売上が減少していないから相談して来ないんじゃないの?

違います。そりゃもちろん、売上が減っていない企業もあるでしょう。

しかし大半の経営者が、「税理士先生に相談したところで何も意味はない」と考えているからです。実際、顧問先の何件から非常事態宣言中に連絡が来たかを思い出して下さい。それこそが、先生が頼りにされている経営者の人数です。

売上アップに役立つと思える貴重な情報は経営者が自分で知るよりも先に伝えてあげないといけませんし、例えば特別貸付などは経営者者が手続きを済ませた頃になってから連絡したって、むしろ「なんだこの先生は今頃…」とむしろ評価を下げてしまうだけです…

月次訪問とかはいらないので、こういう情報こそが経営者は欲しいわけです。

ちょっと頭のいい税理士先生は、先に挙げた日本政策金融公庫の情報をPDFやサイトにまとめていました。

で、それをいち早く顧問先に配るのは当然として、「お役立ち情報なので拡散して下さい」という事で、事務所独自で作成したPDFやサイトを経営者や個人事業主に意図的に拡散させていたわけです。

瀬戸際に追い込まれている切羽詰まった人が見れば「これはどこの税理士事務所だ?!」という事であわよくば問い合わせが入ったりしますし、そこからなんだかんだで関係を築き、お客さんになったりもするわけです。

要するにこのあたりの行動こそが税理士の差別化戦略ですよね。

非常時に何もできない無策の税理士先生には誰も頼もうと思いませんし、そうなればもう、あなたは自ら値下げ合戦に入っていく事を選んでいますよ、と言われても仕方ないわけです。

逆に、税理士先生側から節税やら今回の特別貸付金などの情報提供を積極的にできるようであれば、社長さんも「やっぱりちょっと高くても、この税理士先生じゃないとダメだわ」という考えになるんです。

新型コロナウイルスは税理士の二極化にさらに拍車をかけました。

食える税理士と食えない税理士に分かれていく中で、勝ち残るためのキーワードは「GIVE&GIVE」です。

「よっしゃ!この法人は売上が多いから顧問料5万円とってやれ!」と考えるんじゃなくて…、まずは顧問先のために何ができるかを考えるわけです。いや、それは当たり前。

今はもう顧問先でない人にもどんな情報提供ができるかを考えないとダメです。

だから、日本政策金融公庫の情報とかをPDFなりサイトなりに急いでまとめて、それをツイッターで見ず知らずの個人事業主達に拡散する事には意義があるんです。

ああいう情報って間違った情報もかなり流れたりしていましたし、お金の専門家じゃない人にとってみれば非常に分かりずらいわけです。だからそこにお金の専門家の税理士先生が介在する価値があるという事です。

この先、選ばれる税理士先生になれるかどうかは、こういう所を日々磨いていくしかありませんね。

全ての人が見込み客だと考えて、まだ会った事がない人へのGIVE&GIVEを考えていきましょう!

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