SEOとは、サーチ・エンジン・オプティマイゼイションの頭文字をとった略語ですが、やり方が分からなくてもSEOという名前だけは知っているという税理士先生も30代~40代の所長先生を中心に増えてきました。
簡単に言うと、「どうやってグーグルでサイトを上位表示させるのか」というのがSEOです。
(※ヤフーはグーグルのアルゴリズムなので、ヤフーでの上位表示はグーグルでの上位表示と同義です。)
でも、税理士業界におけるSEOに関してはあまりにも間違った認識が広がっていますので、ここで改めて税理士事務所のSEO集客に関してまとめておくことにします。
税理士先生達の間にあまりにも間違った認識が広がっているのは、自分自身でやったこともないSEOを、さも専門家のように先生達に語るコンサル会社のエセコンサルタントの影響です。
今回は、難関キーワードである「新宿 税理士」というキーワードを事例に出して、このケースならSEOではどのように考えるのかを詳細に紹介しますので、ご自身のエリアでのSEO集客のリサーチに活かして頂ければと思います。
この記事の目次
大前提その1.SEOの最適解は日々刻々と変わる!
まずSEOに関する大前提として、SEOの手法は日々刻々と変わります。
例えば私が初めてSEOに出会った2010年頃であれば、グーグルもまだおバカちゃんでした。
だから、スパムのような手法でもサイト(税理士事務所のホームページ)が上位表示する時代でした。
当時はサイトのタイトル、キーワード、文章に「新宿 税理士」というのをこれでもか!というくらいにてんこ盛りにすれば良かったのです。
「このホームページは新宿の税理士について書かれている」とグーグルロボットに認識させるためです。
でも徐々にグーグルも賢くなって、今度はそれをスパムサイトとみなすようなったので、2012~13年頃になると今度は、「いかに上手くグーグルを騙してごまかすか」というのがSEOの主流となり、会計事務所のホームページへ外部リンクを大量に送りまくれば上位表示するようになりました。これが大量リンクの時代です。
その外部リンクの本数が勝負でした。大量のページからリンクを貰っているので、「この税理士事務所のホームページは評価されている」とグーグルを欺いたわけです。
アメブロやライブドアブログなどの無料ブログから外部リンクを送るわけですね。
しかし2014~2015年頃には無料ブログなどからの大量リンクを貰っているサイトがスパムと判定されるようになったので、今度はリンクの質が重要視されるようになりました。
「評価の良いサイトから自然な形でリンクを貰っているサイト」がグーグルに評価されるようになったのです。
しかし、どの税理士事務所も同じような対策をするようになった結果、グーグルはどのサイトを評価すべきかが分からなくなったのです。
だからこの次に来たのがコンテンツの時代です。外部サイトからのリンクよりもサイト内部のコンテンツに注目するようになり、質の高い記事やコンテンツのある税理士事務所のホームページを評価するようになったのです。
だから、税理士業界の某システム会社が提供するような、テンプレートを元にした金太郎飴のようなホームページには何の価値もない事が分かるかと思います。
このようなテンプレート型のホームページを使用している税理士事務所は、まだ2010年頃のSEOのまま時間が止まったままになっているのです。
そして今もこの流れは踏襲され、2019年の今では「質の高い内部コンテンツ」「質の高い外部リンク」、この両方を満たすサイトがグーグルに評価されて上位表示している傾向にあります。
なお、それぞれにおいてのグーグルの細かいアルゴリズムの変更は日々刻々と行われているので、仮に「新宿 税理士」で1位になったらそれで終わりかというとそうではなく、明日また2位になっているかもしれませんし、はたまた圏外に飛んでいるかもしれないのです。
要するに、SEOは明日の事は誰にも分からないわけです。
大前提その2.SEOは時間がかかる
そしてSEOに関する次の大前提ですが、SEOはとにかく時間がかかるマーケティングだという事です。
上位表示させたいキーワードの難易度にもよりますが、最低でも半年、1~2年かけてじっくりと行っていくものだと認識して下さい。
SEO業者に委託したからといって数か月でどうにかなるものではない訳ですから、この現実が理解できている税理士先生は、システム業者やコンサルティング会社の営業マンに騙されて大金を支払ってしまうリスクも無くなるのです。
ですから、とにかくSEO集客は腰を据えて地道にやっていく心構えが必要ですし、その都度グーグルのアルゴリズムに左右されると思って気楽にやっていく方が良いと言えます。
そこから言えることとして、所長先生がSEO集客だけをあてにして顧問先獲得計画や経営戦略を考えるのは現実的ではありません。
「新宿 税理士」というキーワードでのライバル調査
また、あくまでもSEOは相対的なものです。
いくら完璧なSEO施策を施したところで、狙ったキーワード(ここで言う「新宿 税理士」がキーワードです)がライバルが多いレッドオーシャンだとグーグルでの上位表示は見込めません。
ライバルが強すぎるわけですね。
逆に、たいしたSEO施策をしていなくても、ライバルが弱いキーワードで他の税理士事務所がいないケースでは、簡単に上位表示が可能です。
ですから、SEOではライバル事務所やキーワードの調査は必須なのです。
では、「新宿 税理士」というキーワードを見てみましょう。
グーグルでキーワードを入力して一番上に出てくるのは有料広告ですから、これはSEO対策をしている税理士事務所ではありません。
有料広告の下に出てくるのがSEOの結果で、2019年8月22日の段階では1位が税理士法人TOTAL、2位が税理士検索freeというサイト、3位がアイミツという税理士紹介会社が運営しているサイト、4位が荒川会計事務所、5位が税理士法人YFPクレアですね。
なお、SEOをするなら最低でも狙った検索キーワードで3位以内に入るようにしないとほとんど意味がありません。
前までは5位くらいに入ればクリックされる可能性も高かったのですが、有料広告を出稿する企業が増えた影響で、最低でも3位に入らないとサイトが目立つ位置に来ないのです。
もちろん、3位よりも2位、2位よりも1位の方がクリックされる傾向にある事は言うまでもありません。
ちなみに、「新宿 税理士」というキーワードは月間で約390回検索されているので、新宿で税理士を探している390人くらいには税理士法人TOTALさんはサイトを見て貰えている可能性があると言えます。(※厳密には有料広告をクリックしてSEOサイトを見ずに離脱する人も多いです)
この月間検索数のリサーチは『ubersuggest』というサイトで無料で行う事ができます。
あくまでもおおよその数字ですが、1つの参考にはなるでしょう。
1位の税理士法人TOTALがどのような施策をしているか?
では、ライバルを丸裸にしてみましょう。
2019年8月22日の時点で1位に位置している税理士法人TOTALさんのサイトをクリックしてみます。
まあ、当たり前ですがTKCなどのテンプレートホームページではない事が分かります。
内部対策のライバルチェック方法
次に、税理士法人TOTALさんが狙っているキーワードや、サイトタイトルなどをチェックします。これは主に、サイトの内部対策に関するリサーチを行うという事です。
下記の『SEOチェキ!』というサイトで無料で行えます。
税理士法人TOTALさんのサイトURLを入力します。
すると、下記のような結果が表示されます。
これを見ると分かるように、タイトル、キーワードには「新宿」というキーワードが入っていない事が分かります。
2019年現在のグーグルのアルゴリズムでサイトを上位表示させたいなら、通常はタイトル、キーワード、h1に狙ったキーワードを含めるべきです。
それでも「新宿 税理士」で1位に位置しているわけですから、恐らくホームページの中身のコンテンツが充実しているか、外部対策のリンクが強力なのでしょう。
気になる方は、一度ホームページも隅々までチェックしてみると良いでしょう。
h1タグには新宿というキーワードは入っていますが、他にも狙っているキーワードを詰め込んでいるという印象で、「えいやっ!」ととにかく色々詰め込んでいるなという印象を受けます。
本当に盤石の状態で「新宿 税理士」を狙いたいなら、まだまだここは改善の余地があるでしょう。
外部対策のチェック方法
次に、外部対策をチェックします。
これには、マジェスティックという有料ツールを使用します。マジェスティックで税理士法人TOTALさんのURLを入力します。
すると、トラストフロー53、サイテーションフロー41という数字が出てきます。これはビックリですね!
私の経験値で言うと、トラストフローが20以上のサイトはまあまあドメインが強くてパワーのあるサイトだと言えるのですが、53というのは驚異的な数字です。
参考までにお伝えしておくと、最上位のヤフージャパンがトラストフロー70、新宿区役所のトラストフローが31です。税理士法人TOTALさんのドメインは新宿区役所以上のパワーを持っているわけです。
これまでの事から推測するに、恐らく相当の外部リンクが効いていて、この高い数値になっていると予測できます。
では実際に、税理士法人TOTALさんにあてられている外部リンクをチェックします。
同じくマジェスティックの「被リンク」のページをチェックします。
すると、やはり予測通りでした。
外部リンクを貰っているサイトの質と量が凄いです。
リンクを貰っているサイトのトラストフローも32,32,32,32、31、26・・・と、ずらーっと高評価のサイトが並びます。
キャプチャできていないのですが、この画像の下にまだずらーっとサイトが並んでいます。
どのようなサイトからリンクを貰っているのかそのサイトを調べたら、大半が税理士法人TOTALさんのグループ会社です。
千葉県での会社設立に特化させたサイトや、行政書士法人のサイト、その司法書士法人が運営する建設業許可.netというサイト、the医院開業という医業特化サイト、税理士開業日記などなどです。
つまり、税理士法人TOTALさんはグループ全体でいくつものビジネスを立ち上げて特化サイトを作り、その各々のサイトが評価されてドメインパワーを持ち、そのサイト同士がリンクを送りあっているので極めて高いパワーを持っているのです。
(※もともとあった法人同士が合併してグループになったのか、その順番は分かりませんが、SEOを考える上でそれはどっちでも良いでしょう。)
これがトラストフロー53の最大の理由です。
トラストフローが53もあるからドメインパワーが極めて高いからこそ、サイトのキーワードやタイトルに「新宿」というワードを入れていないにも関わらず、「新宿 税理士」というキーワードでも上位表示するのです。
サイトは、ドメインパワーが高くなると、あらゆるキーワードで上位表示しやすくなる傾向にあります。
税理士法人TOTALさんはその良い例でしたね。
税理士事務所のSEO集客まとめ
このようにして、税理士事務所の所長先生はライバルチェック、キーワードチェックをしてみて下さい。
今回の事例への回答としては、「新宿 税理士」というキーワードだと上位表示は困難です。できたとしても、とても時間がかかります。
ですから仮に私が所長先生だとしたらこのワードは狙いません。
もっと別のワードでSEOをするか、コンテンツマーケティングをします。あるいは、SEOに頼らないマーケティングを考えます。
実際に所長先生がSEOをやっていくとなるとまた勉強しないといけない事が山ほどありますから、それは別のところででも紹介しようと思います。
とにかくまずはライバル調査をする事です。
これをせずに、SEOを始めてしまうと、時間とお金を無駄にしてしまう事になりますからね!
税理士事務所のマーケティングに関しては下記の無料ビデオで紹介しています↓
[…] SEO集客したい税理士先生へ。事例「新宿 税理士」ならどう考える? […]